前科がある者には、
宅建業の免許は与えられません。
前科は次の2つに分けられます。
ア.
懲役又は禁固(きんこ)になり、その刑の執行が終ってから、又は刑の執行を受けることがなくなった日から、
5年経たない者は、免許を受けることが出来ません。
イ.
宅建業法に違反した場合と、暴力団犯罪(脅迫罪・暴行罪・傷害罪・障害助勢罪、
凶器準備集合罪、背任罪(はいにんざい)など)、並びに、暴力団員による不当な行為の防止に関する法律、
及び暴力行為の処罰に関する法律の罪を犯した場合は、
懲役・禁固未満の「罰金刑」になった場合も、その刑の執行を終ってから5年経たない者は、
免許を受けることが出来ません。
この点については、
刑罰の種類を理解する必要があります。刑罰を重い順に、並べると、下のようになります。
死刑→懲役→禁固→罰金→拘留、
科料(かりょう)、過料(かりょう)
懲役は刑務所に入って労務をする必要があります。
禁固は労務がありません。罰金は、お金を払えということ、拘留は30日間、留置場に入れられる刑です。(刑法上は罰金より軽いとされています。)
科料は罰金よりもっと小額で、
過料はもっと軽微な金銭納付のことです。
★要は、
まずは禁固以上の刑が対象ですが、宅建業法違反は免許を与える責任上の問題と、ヤクザ者が不動産業者になるのを、
防止しているわけです。怖い地上げ屋などを。全体的には、
感覚的にヤクザ者が絡む刑罰でとらえればOKですが、背任罪(責任者による横領など)が含まれていることに注意して下さい。
ちなみに、
上の懲役・禁固・罰金は執行猶予になった場合も含みます。
しかし、
執行猶予期間が満了したときは直ちに免許を受けることが出来ます。
執行猶予というのは、その刑の執行を一定期間猶予して、その期間を無事に経過したときは、刑自体が無くなる制度です。
例えば、
懲役1年執行猶予3年という判決が出た場合です。この場合も、
懲役になったことは間違いありませんので、免許を申請しても拒否されます。しかし、執行猶予期間が終われば、きれいな体です。
直ぐに免許の申請が出来ます。
また、
一審判決が出ても控訴中(高等裁判所で争っている段階)や上告中(最高裁判所で争っている段階)では、まだ刑が確定していないので、
直ちに免許を受けることが出来ます。
D社の取締役が、刑法第204条 (傷害) の罪により懲役1年執行猶予2年の刑に処せられた場合、
刑の執行猶予の言渡しを取り消されることなく、かつ猶予期間の満了の日から5年を経過しなければ、
D社は免許を受けることができない。(17-31-3)
宅地建物取引業の免許に関して、
A社の取締役が、刑法第211条(業務上過失致死傷等)の罪を犯し、懲役1年執行猶予2年の刑に処せられ、
執行猶予期間は満了した。その満了の日から5年を経過していない場合、A社は免許を受けることができない。
(18-30-1)
ポイント)
完全な引っ掛け問題ですが、 執行猶予期間の言い渡しを取り消されることなく→めでたく猶予期間を満了した→
その翌日から免許を受けられる→5年経過は関係ないという形のため、
×の肢になります
宅地建物取引業の免許に関して、
D社の取締役が、刑法第 159 条 (私文書偽造) の罪を犯し、地方裁判所で懲役2年の判決を言い渡されたが、
この判決に対して高等裁判所に控訴して現在裁判が係属中である。この場合、D社は免許を受けることができない。
(18-30-3)
×、×、×
免許取消処分を受けた宅建業者の役員も免許を受けれません。
免許を取消されてから、
5年間免許を受けられない者には、
業者が法人だった場合に、その取消しに係る「免許取消しの聴聞(ちょうもん)の期日、及び場所の公示日前60日以内に、
その法人の役員だった者等」
も含まれます。
法人(会社)
と言っても、会社自体が生きているわけではありません。実際に意思決定をしているのは、役員などの人間です。つまり、
法人の免許取消処分があった場合に、悪いことをした張本人は役員達です。そのため、同様の責任を負わせました。
役員には取締役や使用人、
肩書きは無くても取締役などと同等の支配力のある、大株主なども、含まれますが監査役や取引主任者は含まれません。
ただし、
取締役などと同等の力を持っている場合は別です。
聴聞とは、
その法人の免許を取消しの際に、免許権者が一応言い分を聞きましょうと開く、言い訳の場です。いつ、どこでという日時・
場所を業者に知らせることを「公示日」と言います。
★要は悪いことをして、
聴聞になるわけですから、その悪いことに対する、聴聞の場所、期日を示す「公示前60日以内」に、業務に当たっていた取締役が張本人として、責任を負うというわけです。
|60日間(ここが張本人)
| | |以降5年間免許欠格
3つの事由 聴聞の公示日 聴聞 取消
★ポイントは、
ここの場面が適用されるのは、3つの理由で取消処分になったときのみで、
聴聞の公示日前60日以内に役員であったことです。
ア.
不正手段による免許取得
イ.
業務停止事由に該当し、情状が特に重い
ウ.
業務停止処分違反
F社の取締役を退任したGは、かつて勤務していたF社が、不正の手段により宅地建物取引業の免許を取得したとして、
乙県知事から免許を取り消されたが、その聴聞の期日及び場所の公示の日の30日前に同社の取締役を退任し、
同社の免許の取り消しの日から5年を経過していない。Gは、宅地建物取引業の免許を受けることができる。(1-39-4)
宅地建物取引業の免許に関して、
B社は不正の手段により免許を取得したとして甲県知事から免許を取り消されたが、B社の取締役Cは、
当該取消に係る聴間の期日及び場所の公示の日の30日前にB社の取締役を退任した。
B社の免許取消の日から5年を経過していない場合、Cは免許を受けることができない。(18-30-2)
×、○
処分逃れのために、廃業等の届出をした場合も免許をもらえません。
先ほどの、
免許取消処分の、聴聞の期日等が公示された日から、その処分をするかしないかを決定する日までの間に、
合併・破産開始決定以外の理由で
「解散又は、
廃業の届出をした者(相当の理由がある場合を除く)」
で、
その届出の日から5年を経過しない者は、免許を貰えません。
要は、
免許取消処分を受ける前に、宅建業者が自ら、廃業や解散を逃れようとすることを防止するための規定です。
廃業届けをした時点で免許は失効しますので、
その後の取消し処分は行われなくなります。
そのために、
私は取消処分を受けていない。自主的に廃業したのだ。と言い訳をする者がいる可能性がありますので、
それを防止するための規定です。法律の用心深さの一例です。
廃業の届出
↓←ここから5年間免許欠格
|
| |
3つの事由
聴聞の公示日 処分決定日
宅地建物取引業者であったC社は、
不正の手段により宅地建物取引業の免許を受けたとして免許の取消処分の聴聞を受けた後で、処分に係る決定前に、
相当の理由なく宅地建物取引業を廃止した旨の届出をしたが、その届出の日から5年を経過していない。
C社は、宅地建物取引業の免許を受けることができる。
(8-37-3)
宅地建物取引業の免許に関して、
E社は乙県知事から業務停止処分についての聴聞の期日及び場所を公示されたが、
その公示後聴聞が行われる前に、相当の理由なくして宅地建物取引業を廃止した旨の届出をした。
その届出の日から5年を経過していない場合、E社は免許を受けることができない。(18-30-4)
(ヒント 業務停止処分で免許取消しではない。引掛けです)
×、×