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物権(ぶっけん)とは
物権法定主義とは
物権変動
登記がなければ対抗できない第三者
登記が無くても対抗できる第三者
平成20年 宅建試験過去問 問2 公信力と意思表示の混合問題

物権(ぶっけん)とは

今回から物権にいきます。


ちなみに民法は、財産に関する権利として、「債権と物権」を用意しています。区別するポイントは、それが特定の人だけに主張出来るものなのかどうかという点です。


債権とは、人に対してある行為を請求出来る権利です。Aが不動産をBに売却した場合、売主Aは買主Bに代金を支払うように請求出来ます。この代金請求権が債権です。


一方、物権とは、物を直接・排他(はいた)的に支配できる権利です。先ほどのようにAが不動産をBに売却した場合、買主Bは不動産の所有権を取得します。この所有権など、物を「直接支配できる権利」を物件と言います。


つまり、債権はAとBの間など 「当事者のみ」のお話です。一方物権は「誰にでも主張」出来ます。


ここが債権と物件の大きな違いです。




物権法定主義とは

権は当事者間のみでの話です。しかし、物権は誰にでも主張出来る権利です。そのために、物権は法律で定められたもの以外は認められません。これを「物権法定主義(ぶっけんほうていしゅぎ)」と言います。


もう少し解りやすくお話をしますと、例えば映画館に行った時に、椅子にバックを置いて席を確保しますよね。あれは何の権利でしょうか。イス権?ない!ない!所有権?・・・イスは映画館の持ち物ですよね。


つまり、慣習上揉め事を起こさないように、暗黙に権利を認めているだけです。皆が自分勝手に権利を主張したら大変ですよね。そのため、物権はあくまでも、法律で決められたものしか認められません。


それが、物件法定主義の意味です。皆仲良くね。


過去問

物権は、民法その他の法律によって定められるもののほか、当事者間の契約によっても創設することができる。(51-5-1)


ヒント 物権は法定主義です。


×




物権変動

物権の変動(移転)は契約の成立は意思表示のみで成立しますとお話したとおり、物権は当事者の意思表示のみで成立・変動します。


しかし、以下のような問題が起こった場合はどうしましょう。例えば売主Aが、土地の所有権をBに売却した後で、同じ不動産をCにも売却してしまいました。


A → B

C


まず、前提条件として物権の変動は当事者の意思表示のみで効力を生じるわけですから、これは有効です。つまり、BもCもその土地の所有権を獲得します。でも、実際に土地は一つです。それでは、どうすればいいのでしょうか。


ちなみに物権というのは、最初にお話したとおり、誰に対しても主張出来る権利です。法律的には物を排他(はいた)的に支配する権利と言います。他を排除してよせつけないわけです。


でも矛盾しますよね。BもCも所有権を獲得すると言っておきながら、他を排除するというのでは、話が反対です。そこで、どちらが勝つか決着をつけなければなりません。西部劇みたいですね。


さて、決着の手段です。皆さん、不動産の登記簿(改正不動産登記法により、「登記事項証明書」という名称に変わります。)というのは聞いたことがあるでしょう。その登記により決着をつけるのです。


土地や家の所有権がAからBに移転したら、登記事項証明書に、これはBの土地ですと記載して表すのが通常です。


そして、「不動産に関する物権の変動は、登記をしないと第三者に対抗出来ないという原則があります。簡単に言うと、自分名義に登記をしていないと、ライバルには勝てませんよということです。


C ← A → B  結局Aからの登記を早くしてもらった方の勝ちです。


不動産に関する物権の変動は、登記がなくても当事者(AとB、AとCなど)には対抗出来ます。つまり、不動産に関する物権の変動につきまして、登記の移転は物権の移転に必要な要件ではなく、「第三者に対する対抗要件(BとCの間)」です。


過去問

不動産に関する物権の変動について、民法は登記の移転を要件としている。(55-5-4)


ヒント 登記は対抗要件です。


×




登記がなければ対抗できない第三者

不動産に関する物権の変動が、「登記がなければ第三者に対抗できない」のは、第三者もその物権について正当な利益を有しているからです。


つまり、登記がなければ対抗できない第三者とは、昨日のCのように正当な利益を有する第三者を指します。あくまでも権利はあるのですから


昨日の、AがBとCに不動産を二重譲渡した場合の、Bから見たC、またはCから見たBの間はライバル同士ということですね。


B ← A → C

両方ともAから買ったという正当な権利を持っています。ですからお互いに有効なのです。しかし、結局両方に同じ物は売れません。そのため、登記が早い方が勝ちとしたのです。


さて、今お話をしました二重譲渡ですが、物権変動について悪意の者はどうでしょうか。先ほどの例でAからCに土地が売られたことをBが知っていた場合に(若しくは反対にCが知っていた場合に)、単純に「知っていたに過ぎないときは有効」です。資本主義の世の中のため、早い者勝ちの原則があるからです。だって、資本主義だもん。


C ← A → B (悪意 登記)


Bの勝ちCの負けです。悪意でも勝ちになる点が特殊ですね。


過去問

AがGからこの土地を譲り受け、Aが未登記のうちに、その事情につき悪意でGから二重にこの土地を譲り受けて自己に移転登記をしたHは、登記がなければAは、自己の土地の所有権を対抗できない第三者に該当する。(61-7-4)


ヒント 生き馬の目を抜く資本主義の世界です。単純な悪意は早い者勝ちです。





登記が無くても対抗できる第三者

次は、登記が無くても対抗出来る第三者です。先日お話したとおり、不動産に関する物権の変動について登記がなければ第三者に対抗できないのは、第三者がその物権について正当な利益を持っているからです。


逆に言いますと、その物権について正当な利益を有しない第三者に対しては、登記がなくても対抗出来るということです。


次の場合は、対抗出来る第三者になります。つまり、正当な利益が無いということです。一言でいうと違法な者です。


1、相手を困らそうとした者

ライバルを困らそうとした者を背信的悪意者はいしんてきあくいしゃ)と言います。これは、相手を困らせてやろうと思って二重譲渡を受けたのですから、法律も保護しません。


2、ライバルを詐欺または強迫により、登記申請を妨げた場合。


邪魔をしたということです。


過去問

Aの所有する土地をBが取得した後、Bが移転登記をする前に、CがAから登記を移転した。BがAから購入した後、CがBを強迫して登記の申請を妨げCがAから購入して登記をC名義に移転した場合、BがCに対して登記がなければ土地の所有権を主張できない。(7-2-2)


ヒント だって、悪いことをしているわけですから。


×




平成20年 宅建試験過去問 問2 公信力と意思表示の混合問題

所有権がAからBに移転している旨が登記されている甲土地の売買契約に関する次の記述のうち、民法の規定及び判例によれば、正しいものはどれか。


1 CはBとの間で売買契約を締結して所有権移転登記をしたが、甲土地の真の所有者はAであって、Bが各種の書類を偽造して自らに登記を移していた場合、Aは所有者であることをCに対して主張できる。


(ポイント)Bはまったくの無権利者です。これを間違っては話にならん。
登記に公信力はありません。常識でわかりますよね。Aを保護するべき。 ○


(参考過去問)Aが所有者として登記されている甲土地の売買契約に関して、Aと売買契約を締結したCが、登記を信頼して売買契約を行った場合、甲土地がAの土地ではなく第三者Dの土地であったとしても、Dの過失の有無にかかわらず、Cは所有権を取得することができる。(19-3-2) ×


※平成19年の3問目に同じ趣旨の問題が出ています。基本的なことだから、必ず知っておいてね!という出題者の愛が感じられる問題です。


2 DはBとの間で売買契約を締結したが、AB間の所有権移転登記はAとBが通じてした仮装の売買契約に基づくものであった場合、DがAB間の売買契約が仮装であることを知らず、知らないことに無過失であっても、Dが所有権移転登記を備えていなければ、Aは所有者であることをDに対して主張できる。


(ポイント)虚偽表示の無効は、善意の第三者に対抗できません。
この場合、第三者は善意でありさえすればよく、登記を備えている必要もありません。虚偽表示をする人が悪いのですから、とにかく善意の第三者の勝ちです。


(参考過去問)Aが、債権者の差押えを免れるため、Bと通謀して、A所有地をBに仮装譲渡する契約をした。Cが、AB間の契約の事情につき善意無過失で、Bからこの土地の譲渡を受けた場合は、所有権移転登記を受けていないときでも、CはAに対して、その所有権を主張することができる。(12-4-2) ○


3 EはBとの間で売買契約を締結したが、BE間の売買契約締結の前にAがBの債務不履行を理由にAB間の売買契約を解除していた場合、Aが解除した旨の登記をしたか否かにかかわらず、Aは所有者であることをEに対して主張できる。


(ポイント)売買契約は一旦は有効
A→B に移転
A 解除 ←B→ 売買E となる。
よって、AかBのどちらが勝ちかは、登記の有無で決着


(参考過去問)不動産の物権変動の対抗要件に関して、不動産売買契約に基づく所有権移転登記がなされた後に、売主が当該契約を適法に解除した場合、売主は、その旨の登記をしなければ、当該契約の解除後に当該不動産を買主から取得して所有権移転登記を経た第三者に所有権を対抗できない。(19-6-2) ×


4 所有権がAからBに移転している旨が登記されている甲土地の売買契約に関して、FはBとの間で売買契約を締結して所有権移転登記をしたが、その後AはBの強迫を理由にAB間の売買契約を取り消した場合、FがBによる強迫を知っていたときに限り、Aは所有者であることをFに対して主張できる。


(ポイント)意思表示の強迫の問題。強迫ですから、善意・悪意は関係ありません。


(参考過去問)A所有の甲土地についてのAB間の売買契約に関して、Aが第三者Cの強迫によりBとの間で売買契約を締結した場合、Bがその強迫の事実を知っていたか否かにかかわらず、AはAB間の売買契約に関する意思表示を取り消すことができる。(19-1-3) ○


問題自体は簡単ですが、対抗関係になるか意思表示の問題です。
これを見分けるには、解除後なのか取り消し後なのかによります。


つまり、解除など行為の後は 対抗関係=登記の有無で決着
    解除の脅迫など意思表示の段階=意思表示の有無、善意・悪意等で決着


混同してはいけません。


参考 最短クリア宅建合格一直線 P70、86






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